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日本は、まだまだ「議論」が足りていない
パレードやフェスタは「議論」を生み出すチャンス
東京レインボーパレードに協賛した理由について教えてください。
森永:大学生の頃から、LGBT当事者として日本のパレードを見てきました。こうしたアクションを社会に広げていくということには大変意義を感じています。昨今、LGBTイシューが多くのメディアに取り上げられていますが、日本では、まだまだ「議論」が足りていないと認識しています。パレードやフェスタでLGBTの人とストレートの人が接点を持つことは、その「議論」を生みだすいいチャンスだと思っています。そうした「議論を生む場」と捉え、今回協賛させていただきました。
TRPに協賛する、新会社「LGBT総合研究所」はどのような会社ですか?
森永:日本のLGBTと企業を繋ぐための総合研究所です。事業内容は主にリサーチ事業とセミナー事業、そして企業のマーケティングサポート事業です。日本のLGBTに関する独自のリサーチを行い、企業がLGBTを正しく理解するために貢献します。この内容をセミナー等でシェアさせていただき、企業がLGBTに向き合い、新しいサービス・商品などを開発することに繋げていきたい。多くの企業がLGBTに対する正しい知識を持ち、LGBTとの距離感を縮められるように、そのための企業向けのマーケティングサポート事業も展開します。「LGBTで儲ける」みたいな企業視点のマーケティングではなく、企業とLGBTがつながることでハッピーなイノベーションを生み出せる様なマーケティングを実現します。
どのような経緯で、「LGBT総合研究所」を設立することになったのでしょう?
森永:この事業は、私が勤めている広告会社、博報堂DYグループのベンチャープログラムで選出された事業です。弊社グループでは、これまでLGBTに対する具体的取り組みは特にありませんでした。もともと多様性豊かな人材が集まっている業種であり、モラルある方が多く、LGBTに対する差別や偏見を感じたことはあまりありませんでした。私自身も「ゲイ」であることをカミングアウトして働いていますが、皆、自然に打ち解けてくれています。一方、カミングアウトできず悩んでいる仲間がいたり、LGBTという存在を知らないストレート社員が多いことも事実。それ故、双方に自然と距離が生まれていることも少なからずあるかもしれません。それならば会社としてLGBTに向き合うべきだろう、と考えました。5年ほど前から、このイシューに対して社内で議論を重ね、単に社内で向き合うだけではなく、多くのクライアント企業様と連繋して、社会に還元できればベストじゃないかと。そこから今回、事業会社を設立するという流れになりました。
LGBTを顕在化することで
社会に新たなイノベーションが生まれます。
団体ではなく、企業としてLGBTを掲げることの意義についてはどのように考えていますか?
森永:行政や団体の活動の重要性は理解していますが、運営における資金、人材、時間などのリソースに厳しさがあると認識しています。一方、企業はこうした課題を解決できる機会があります。企業が取り組めば、そこで働く社員にも正しい知識が付きますし、企業活動を通じて、LGBTもストレートもハッピーに出来る商品やサービスが生み出せる。LGBTとストレートが共生できる環境を創り出すことができます。
多くの企業や、そこで働く人たちが、正しい知識とモラルを持ってLGBTと向き合えば、LGBTの方たちも「自分たちが食い物にされるのでは」という様な警戒をすることは無くなるだろうな、と正直思います。
将来的な展望は?
森永:LGBTを好きだ、嫌いだというのは個人の自由。それとは別に、こういう人たちがいるということを理解し、どのように向きあっていけばいいのかということを深く世の中に考えてもらいたい。LGBTの顕在化は、その多様性から社会に新たなイノベーションが生みだせます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに、多様性豊かで、新しい価値に溢れた日本を多くの企業と共に創れたらと考えています。
近年、LGBTを支援する「アライ」も注目されていますが、それについてはどう感じていますか?
森永:一緒に事業を立ち上げる東松もそうですが、アライの人たち感謝しきれないほど助けられてきました。アライが世の中にもっと増えると、自分らしく生きられるLGBTの方たちも当然多くなります。LGBTの本音やアクションも増え、社会に変化が生まれてくると思います。
みんなが自分らしく生きるために
互いがちょっとずつ勇気を出してみる。
パレードに参加する人たちにメッセージを。
森永:良くも悪くも日本人って奥ゆかしさみたいなものがあって、心の内にあることを社会に出せない人が多いですよね。外見上わからないLGBTというアイデンティティだからこそ、私は、もっと世の中に出していくべきだと思っています。衝突や苦悩があるかもしれません。でも勇気を持って「自分はこうだ」ということを出していくことで、人間関係はより本質的になります。私自身、会社で「自分はLGBT」ということを隠さず生きてきて学んだことです。
自分らしく生きることを尊べる、って本当に素晴らしいと思います。アライの方々もLGBTに初めて向き合う時には勇気が必要だったでしょう。だからアライの方々には本当に感謝しています。皆が自分らしく生きるために、互いにちょっとずつ勇気を出してみる。こんなにたくさん仲間がいるということを実感できるパレードで、その素晴らしさを感じてほしいし、仲間をどんどん増やしてほしい。東京レインボープライドは多くのLGBTやアライに、そんな勇気を与えるイベント。そういう架け橋に我々自身もなっていきたいですね。
右からLGBT総合研究所の東松副社長、森永社長、TRPの梯、巴
株式会社LGBT総合研究所
〒107-0052 東京都港区赤坂5-3-1
電話:03-6441-9059
株式会社LGBT総合研究所は博報堂DYグループ横断社内公募型ビジネスアイデア募集・育成プログラム「AD+VENTURE(アド+ベンチャー)」から生まれたベンチャーです。博報堂DYホールディングス傘下の出資目的子会社としてAD plus VENTURE株式会社が設立しました。 |